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「ER」1st season 第13話 その4「DNR」



DNRとは ”Do not resuscitate” 蘇生術不要の指示のことです。
(近年ではDNAR:“Do not attempt resuscitate” とも言います)
患者さんやご家族から、気管挿管・人工呼吸器などの延命治療を希望しないとの意思表示があったことを書いておきます。別のスタッフが治療にあたるときにわかるように。

治癒の見込みのない患者さんに、延命治療をおこなうことは、
ご本人とご家族の苦痛を長引かせるだけのこともあります。

■8分25秒–9分30秒
Dr Ross が心停止の小児の治療にあたっています。
突然bradycardia 徐脈からflatline 心静止におちいったようです。

septic shock敗血症のためErythro:Erythromycinエリスロマイシン(マクロライド系)とCefotaxime(第3世代セフェム系)の2つの抗菌薬を投与しています。

Epi:epinephrineに加えて、Isuprel:Isoproterenolイソプロテレノール(β作動薬)を投与しています。

四肢が硬縮しているので、既往歴を尋ねています。
Cerebral palsy? 脳性まひ(ですか)
Brain Damage. 脳損傷(のためです)

心拍が再開しましたが、V-tach:ventricular tachycardia 心室頻拍です。
今度はIsuprel を止めて、lidocaine です。

12-lead:12誘導(の心電図)

■10分53秒–11分40秒
原因は高カリウム血症でした。
1st season 第13話 その3参照)

なんとか助かりそうです。
しかし父親はずっと無表情です。
この男はほんとうに父親なのか?

■13分26秒–15分00秒
Last time they put him on a ventilator.
前回悪くなったときは、人工呼吸器を装着されたんだ。

事故の前はトランペットを習っていたんだ。
父親が問わず語りに話し始めました。
交通事故でこのような状態になってしまったようです。

父親がしきりに時刻を気にしていたのは就職の面接があるからです。

■19分30秒–20分27秒
カルテから”Do not resuscitate”の指示が出てきました。

■21分40秒–22分35秒
父親は無言です。

■32分56秒–33分34秒
病室に移送されています。
The DNR sticker is on there. DNRのステッカーはここに

■34分20秒–36分35秒
父親が戻ってきました。息子がいたはずのベッドがありません。もしや…
Dr Ross に尋ねると「Intensive Care (Unit) にいきましたよ。」

Detroitで仕事が見つかりました。Chicago からは遠くです。

2年間の孤独な看病生活で父親は疲れ切っています。
Dr Ross にもDNR の気持ちがわかったようです。

もちろん、このような場合には種々のsocial service がうけられるでしょう。
しかし、家族の心理的な負担は大きいのでしょう。

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