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1st season 第16話 その2「吐血」

■33分54秒–35分26秒
anaphylaxisのpatientが、突然吐血hematemesisします。
なにが起ったのでしょう?

吐血をきたす病態で頻度が多いのは、
・消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)ulcer
・Mallory-Weiss症候群
・食道静脈瘤esophageal varix 複数形はvarices
・胃癌gastric cancer
などです。

Has your wife been vomiting recently?
Mallory-Weiss症候群は頻回の嘔吐の後におこるのでこの質問をしています。

Does she have any history of ulcer?
消化性潰瘍は再発しやすいのでこの質問をしています。

内視鏡endoscopeを用いて検査をしたところvaricesでした。
静脈瘤varix・varicesというと、もう一つ、下肢静脈瘤も頻度の高い疾患です。
しかしこの場面では食道静脈瘤に決まっているのでesophagealが略されています。

食道静脈瘤は肝硬変liver cirrhosis・門脈圧亢進症portal hypertensionに合併しておこります。

門脈の血液は肝臓を通って心臓に戻るのですが、
肝硬変になると通りにくくなるので、
別の道を通って心臓に戻ろうとします。
その大量の血液が食道の静脈を通るのです。

日本ではウイルス性肝炎(B型・C型など)から
慢性肝炎chronic hepatitisを経てliver cirrhosisになることが多いのです。
アメリカではアルコール性のことが多いので、
Is your wife an alcoholic? と質問しています。

esophageal varicesは大出血をおこして致死的になります。
治療として内視鏡での止血術(局所注射や結紮EVLなど)があります。

緊急に止血する方法としては、
Sengstaken Blakemore tube があります。
(開発者の名前がついています。)
略してSB tube と言います。⇒字幕のSP tube は間違いです。

これは2つのバルンballoon がついていて、
1つをまず胃で膨らませ(Dr Lewisがairを200ccと指示)、
次に2つ目の食道の細長いballoonを膨らませます(内圧40mmHgと指示)。
食道を圧迫する圧が重要なので、内圧で指示するのです。

Sengstaken Blakemore tube

このチューブは、位置が動かないように固定する必要があるのですが、
野球のキャッチャーマスクcatcher’s mask を使っています。
おもしろいidea です。

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