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「ER」1st season 第2話 その1  「GCS」


1st season 第2話 ショック、意識障害

交通事故
■7分00秒―9分15秒
Helicopter で重症2名、軽症2名

日本でもヘリコプターによる患者搬送が近年盛んにおこなわれるようになってきました。
搬送にかかる時間が短縮できること、現場で早く医療活動が始められること、が大きな利点です。

重症度の目安としてvital signs:血圧 Blood Pressure、脈拍(心拍数)heart rates、などと、意識レベルが重要です。

出血性ショックの指標として血圧と脈拍、それに伴うショック指数(脈拍数/収縮期血圧)があります。通常なら脈拍数60くらい、収縮期血圧は120くらいですから、ショック指数は60/120=0.5くらいです。1.0をこえると、すなわち収縮期血圧より脈拍数の方が多くなれば、出血量が多いと考えられます。
ただし、脊髄損傷では徐脈になるので注意が必要です。

循環血液量は体重の8 %くらい、60kg の人で5リットルくらいです。

一人目の患者は、3リットル輸液しても血圧50/30、脈拍120とまだかなりの血圧低下・頻脈、ショック指数は2.4です。
二人目の患者も血圧65/、脈拍150で、ショック指数は約2.3です。
thready:脈が弱い

意識レベルの評価は、欧米ではGlasgow Coma Scale(略してGCS と言います)を用います。
開眼機能(1-4点)、言語機能(1-5点)、運動機能(1-6点)で表します。

開眼機能 (Eye opening)
  4点:自発的に、またはふつうの呼びかけで開眼
  3点:強く呼びかけると開眼
  2点:痛み刺激で開眼
  1点:痛み刺激でも開眼しない
言語機能 (Verbal response)
  5点:見当識が保たれている
  4点:会話は成立するが見当識が混乱
  3点:発語はみられるが会話は成立しない
  2点:意味のない発声
  1点:発語みられず
 (なお、挿管などで発声が出来ない場合は「T」と表記する。 扱いは1点と同等である。)
運動機能 (Motor response)
  6点:命令に従って四肢を動かす
  5点:痛み刺激に対して手で払いのける
  4点:指への痛み刺激に対して四肢を引っ込める
  3点:痛み刺激に対して緩徐な屈曲運動(除皮質姿勢 decorticate position)
  2点:痛み刺激に対して緩徐な伸展運動(除脳姿勢 decerebrate position)
  1点:運動みられず

ただし、EVMの順で表す場合と、EMVの順で表す場合があります。

ですから一人目の患者はGCS 1-1-1なので、開眼なく発語もなく運動もない、深昏睡 deep coma の状態です。一方二人目の患者はGCS 4-6-5(EMVの順)で満点ですから、意識ははっきりしているとわかります。

歩行者が3人(両親と娘)、運転者が1名で、重症は母親と娘だったようです。

9分15秒―10分02秒
運転手は飲酒運転だったようです。
血中アルコール濃度と、tox screen を調べる、と言っています。
toxicologic screening 薬物検査 の略です。

■11分40秒―12分29秒
娘さんは脾臓の破裂 ruptured spleen で腹腔内出血をおこしていました。
手術室へ運ばれていきます。

■17分18秒―17分39秒
運転手はなにも知らずに眠っています。

■20分02秒―21分35秒

父親に奥さんが絶望的であること、臓器提供の意思があるかを告げています。
とてもつらい瞬間です。

DIC:disseminated intravascular coagulation 播種性血管内凝固症候群の略
全身に出血傾向が強く出ます。


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