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2nd season 第4話 その2「青酸中毒」

■37分17秒–40秒
多発外傷の患者が搬送されてきます。

■38分42秒–40分14秒
しかし、出血性ショックの所見はありません。

動脈血液ガス分析の重要な所見としてanion gap があります。
これはNa+−(Cl+HCO3) で得られます。正常は10mEq/Lです。

これが増加するのを「anion gap の開大」と呼びます。
その原因は種々ありますが、シアン・サリチル酸・エチレングリコールなど、
薬物中毒もあります。(2nd season 第18話その1 参照)

Dr Lewis はanion gap が開大していること、metabolic acidosis があること、から
薬物中毒を疑い、X-rayのrecycleからcyanideシアン化物と考えます。

炭素と窒素CNのついた化合物をシアン化物(あるいは青酸化合物)と呼びます。
KCN:シアン化カリウム、あるいは青酸カリ
Na(CN2):シアン化ナトリウム、あるいは青酸ナトリウム
いずれも猛毒です。
冶金などの工場で使われます。

細胞のミトコンドリアのチトクロームオキシダーゼを阻害して、
細胞内呼吸を止めてしまいます。

Blood gas shows decreased AV differential.
 (AV:arterio-venous)
 動脈と静脈の酸素分圧の差が少ない。

これは酸素が細胞で使われていないことを示します。

眼底鏡で、retinal vein網膜の静脈をみて赤いと言っています。
静脈の酸素分圧が高いからです。

cyanide の治療には
sodium nitrate亜硝酸ナトリウム(亜硝酸アミル)と
thiosulfateチオ硫酸ナトリウムを投与します。

sodium nitrate亜硝酸ナトリウム(亜硝酸アミル)はhemoglobin の2価の鉄Fe を
3価にして青酸と化合させて排出するのです。

最初は多発外傷として搬送されてきましたが、外傷がおこった原因が実は中毒がおこったためだったのです。さすがLewis 先生ですね。


X-rayのrecycle
最近は病院がfilmless となり、いわゆるレントゲン写真のfilmは
見られなくなりましたが、あのfilmには薄い銀Ag 化合物があり、
古いfilmから銀を回収していたのです。

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