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「ER」1st season 第7話 その1ほか  「続・外科的気道確保」

外科的気道確保 surgical airway management について

確実な気道確保には、気管挿管することがほとんどですが、気管挿管できないことがあります。呼吸できないとあっという間に無酸素状態になり、脳は酸素がこないと数分で機能しなくなりますから一刻を争います。緊急に気道を確保するため、頚部を穿刺あるいは切開しなければなりません。このような場合を気道緊急、処置を外科的気道確保 surgical airway management といいます。

甲状軟骨(thyroid cartilage)と輪状軟骨(cricoid cartilage)の付近が皮膚に最も近いので、短時間に切開・穿刺することができます。輪状甲状靱帯(間膜)切開または穿刺(cricothyroidotomy)と言います。『ER』でも、たびたび出てくる処置です。


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1st season 第7話
Dr Benton が頚部の刺創(a stab wound to the neck)の患者で
口腔内の出血のため挿管不能(unable to intubate due to bleeding)に
緊急で cricothyroidotomy をおこなっています。
Let’s go a crike.
輪状甲状靱帯(間膜)切開をやるぞ。
  ―字幕の cricothyrotomy でも輪状甲状靱帯切開のようです。―

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3rd season 第15話

Hathaway Nurse が強盗に遭遇して、銃撃された店主に蘇生術をします。

■12分07秒-
心肺蘇生法CPRをおこないます。5:1でおこなっています。
しかし口対口人工呼吸 Mouth-to-mouth でうまく換気ができません。

■13分50秒-
そこで Hathaway Nurse はありあわせの機材で輪状甲状靱帯切開をおこないます。気管に挿入する tube のかわりに、ストロー straw を用いています。
普通のストローはちょっと材質が柔らかすぎる気がしますが。

また消毒代わりにアルコール(酒)を使っています。

このあとさらに胸腔穿刺・胸腔ドレナージをおこなっています。緊張性気胸だったからでしょう。

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6th season 第5話
患者さんのご家族が襲ってきて Dr Greene がふりはらったら急変します。

■30分40秒–32分00秒
Dr Carter が Intubation 気管挿管します。ところが Bag で人工呼吸しても酸素がはいりません。
Intubation was good
挿管はうまくできたはずです。
I saw the cords
vocal cords: 声帯(左右で2枚あるので複数形です)
挿管のときにチューブが声帯を超えるのを確認するのが重要です。
きちんと声帯の向こうまでチューブが入っているのになぜだろう?
subcutaneous emphysema:皮下気腫 が出てきました。
You broke his larynx
喉頭を損傷したようです。
挿管チューブから人工呼吸しても、損傷しているので皮下に空気が漏れるだけ。
pulse ox (oxygenation) 酸素飽和度は悪くなる一方です。
5連発の不整脈も出てきました。

一刻も早く呼吸させなければなりません。
Let's prep him for a crike.
Let's trach him:輪状甲状靱帯穿刺をしています。そのためのキットがあります。セルジンガー法でいれます。まず注射器で穿刺してからガイドワイヤーを通してチューブを入れています。迅速に挿入できました。

below the cricoid:と言っていますが、below the thyroid 甲状軟骨の下、cricoid 輪状軟骨の上、でおこなうはずです。

乱闘シーンをみると Dr Greene の腕が相手の首にかかっていました。


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