■9分45秒 – 10分20秒
この場面では、Dr BentonとDr Carterが話をしている後ろの動きなので見にくいのですが、ストレッチャーの向きに注目です。
患者さんを手術室に搬送していますが、エレベーターから出た後のストレッチャーの向きが反対です。
ストレッチャーstretcher(あるいはbed)での搬送の原則は、患者の足が前で頭が後ろです。
病院スタッフはもちろん、救急隊が搬送する時もそうです。
もちろん、治療室へ入る時やエレベータの出入りで一時的に頭から入ることはあります。
頭を後ろにする理由は、ストレッチャーを押す人がbag-valve-maskや人工呼吸など呼吸管理をしたり、患者さんの顔を確認できるからです。たとえ呼吸管理が必要でなくても、急に意識が低下したり、呼吸が弱くなったり、チアノーゼcyanosisが出たり、嘔吐vomitしたり、搬送中には様々なことが起こりえます。
ストレッチャーの前を引くスタッフは、前をみなければなりません。患者さんの顔が前にあると、後ろを押すスタッフからは顔を確認しにくいのです。
患者さんに話しかけて、安心できることもあります。
さて、それでは起坐呼吸の患者さんの場合はどうでしょう。
(起坐呼吸:仰臥位では苦しいため、座って呼吸している状態。
心不全や喘息などの場合におこります。
起坐呼吸の場合には、無理に寝かせると悪化するので
患者さんが楽な体位が原則です。
酸素投与しながらのことが多いです。)
ストレッチャーをギャッジアップすると、後ろ側のスタッフは患者さんの状態が確認できません。ですから、ストレッチャーを反対に進めると、後ろ側のスタッフが患者さんの状態を確認しながら搬送できます。あるいはストレッチャーの横側について搬送します。スタッフが3人であればさらに良いです。