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「ER」3rd season 第9話 その3「食道穿孔」



■28分20秒―42秒
10歳の男児が剣を飲む曲芸をまねて包丁を飲もうとして受傷しました。

He tried to be a sword swallower.
He tried with a carving knife.
 carving knife:肉切り包丁。字幕のナイフより大きいものではないでしょうか。
 sword:剣
 swallow:飲み込む
 sword swallower:呑剣曲芸士(下記参照)

■29分30秒―45秒
皮下気腫があります。咽頭・喉頭・食道あたりに穿孔perforationがあるようです。
Unasyn:ユナシン:ペニシリン系抗菌薬の商品名です。
食道穿孔であれば縦隔の感染症をきたすのでやっかいです。

Dr Weaverは内視鏡で穿孔部位を確認しようと考えています。
しかしDr Greeneは必要ないと言っています。
内視鏡で送気をおこなうことで感染を広げたりするからです。
CTなどで穿孔部位がはっきりすれば、必要ないかと思います。

■30分05秒―55秒
Dr Weaverが内視鏡しましたが腫れていてよく見えないようです。

Should I drop an NG?
 NG:nasogastric tube:経鼻胃管

食道穿孔がある場合には、そこから経鼻胃管が食道外に抜ける危険があります。

■32分04秒―33分22秒
小児外科のDr Keatonが手術しています。
助かりそうですね。


■ちょっと寄り道
剣を飲む:“呑剣”という昔からある曲芸です。剣が縮むような仕掛けではなく、口・食道・胃を一直線にして咽頭反射も抑える特殊な訓練をして、ほんとうに呑むのです。
007第13作「オクトパシー」にもチラッと出てきます。(39分18秒—40秒)
007が呑剣士の剣で敵と戦います。
「けんのん:剣呑」ぶっそうなこと、あぶないこと。

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が柔らかいファイバーでできる以前は、
金属製の固い棒状(硬性鏡)であったため、呑剣士が受けたそうです。
柔らかい内視鏡は戦後1950年に日本の医師らが開発しました。
この内視鏡の開発は、吉村昭氏が『光る壁画』で描いています。

余談ですがoctopusは蛸です。octo-は8を表します。
足が8本なのでoctopusです。
「オクトパシー」一味の女頭領が蛸の刺青をしているので。
8人の演奏をOctetといいます。

本来September・October・November・Decemberは7月・8月・9月・10月の接頭詞がついています。当時の暦が3月から始まっていたからのようです。なお、ローマ帝国のJulius Caesarジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)とアウグストゥスAugustusにちなんで7月・8月がJuly・Augustになりました。アウグストゥスの次の皇帝ティベリウスTiberiusは、そのように名をつけることを固辞したといわれています。

ちなみにシーザーといえば、帝王切開caesarean sectionは、シーザーが帝王切開で生まれたためこう呼ばれるとの説があります。

なお、swallowには「呑む」の他に「つばめ」という意味もあります。
新幹線以前の国鉄では、花形の特急名でした。
それにちなんで、プロ野球で「国鉄スワローズ」でした。
その後身売りで「産経アトムズ」「ヤクルトアトムズ」となり、1973年から「ヤクルトスワローズ」に戻りました。なのでマスコットがつばめの「つば九郎」ですね。
JRバスでは今もつばめのマークが使われています。
JR BUS swallow

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