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「ER」5th season 第1話 その1  「重症頭部外傷」

重症頭部外傷 severe head trauma


重症な頭部外傷の消防士(firefighter)の患者さんの話です。

■18分50秒―19分20秒
Helicopter (chopper) で transfer されてきます。
20 feet 落ちたと。20 feet は約6m。この6mの高さは重症になる一つの目安です。
(ただし2mとか1.5mでも重症になることはあります)
しかもonto concrete 下はコンクリートだったと。当然のことですが高さだけではなく、下が草むらか、土か、コンクリートか、によっても身体に受ける力は異なります。

blunt trauma は鈍的外傷:皮膚が破れていない。
反対は penetrating trauma 鋭的外傷
これには刃物による創:stab wound、と銃創:gunshot wound があります。

apneic:自発呼吸がない:形容詞。名詞ではapnea。「a」は「〜がない」
頻呼吸は tachypnea。tachy は「多い」。頻脈は tachycardia。

pupils(対光反射 light reflex が)sluggish:遅い、反応がゆっくりである。
正常は light reflex prompt (迅速)と表現します。瞳孔がすばやく収縮すること。

現場で intubated:気管挿管した。というのに管がないのでDr Greene が質問します。
すると途中で抜けてしまって、喉頭鏡 laryngoscope がなかったので再挿管できなかったと。
このように移動の途中で挿管チューブが抜けることがあり得ますので、
挿管チューブをしっかりと固定することが重要なのです

そのため bag-valve-mask で人工呼吸を続けています。

多発外傷では頸椎損傷の危険があるので、頸椎カラー collar および back board 固定に加えて、頭部の両側に頭部を動かさないように head immobilizer を装着しているのが見えました。
mobile は動かす。携帯電話は mobile phone。否定形で immobile
1st season には collar だけの装着でしたが。

■19分45秒―
patient は初療室に移動しています。
suction:吸引:喀痰や口腔内の液体などを吸引

stabilize the neck:(挿管中に頸椎を動かさないように)頚部を保持してくれ。
搬送中から治療中も頸椎保護に努めます。

Dr Greene は挿管を行いうまく入りました。さきほど話に出た laryngoscope を使っています。
pulse ox (oximeterの略):動脈血酸素飽和度(ヘモグロビンの何%が酸素を運んでいるか、を示す。指にセンサーをつけるだけで測定できます。正常は95%以上)が92だったものが95,96,と正常まで上昇しています。
また送気により両側の胸壁が挙上していること、呼吸音がきちんと聞こえていること(good breath sounds)、も挿管がうまく入ったことを示す重要な所見です。

Dr Benton は腹腔内臓器損傷がないか診ています。
belly 腹部。 belly dance:ベリーダンス
腸の動く音:腸雑音 bowel sounds が聞こえているので臓器損傷ないと判断しました。
腹腔洗浄 peritoneal lavage は腹部に穿刺して温生理食塩液を注入し、戻った液の性状から腹腔内出血や消化管穿孔がないかを診断する処置です。それは不要だと。

hemodynamically stable:血行動態的に安定している。血圧や脈拍が安定している。
hem は血液を表す言葉によく出てきます。
hemoglobin ヘモグロビン。hemorrhage 出血。hematoma 血腫(後で出てきます)
dynamic ダイナミックとカタカナ英語になっています。
stable 安定している。安定させる、がさきほど出た stabilize
反対語は unstable 不安定:unstable angina 不安定狭心症

tracheal shift:気管の偏移:緊張性気胸の所見です。
jugular venous distention:頸静脈の怒張:心タンポナーデまたは緊張性気胸の所見です。
この2つは、外傷後の致命的な、しかも一刻を争う損傷なので、チェックしているのです。

Foley tube:膀胱留置カテーテル。ここに出てきた尿 urine が血尿ではない、と。
urine is clear. No blood.
このことは腎・尿管・膀胱といった尿路系に損傷がないことを表しています。

意識障害があると、つい頭蓋内損傷・脳の損傷に目を奪われますが、このように頸椎(21分26秒で撮影 spine は脊椎、頸椎は cervical spine なので略してC-spine と)・心・肺・腹腔内・尿路系など他の損傷を見落とさないよう check することが重要です。

同時に NG tube (経鼻胃管: naso-gastric tube。Naso; 鼻の gastric: 胃の)を入れるよう order しています。しかし頭蓋底骨折が疑われる場合は、鼻孔から入れてはいけません。

■20分40秒―
次に Dr Greene が Glasgow Coma Scale について学生に説明します。
開眼 eye opening、発語 verbal response、運動 motor response、の3点で評価します。
自発開眼 (spontaneous:自発的な) は5点と言っていますが、4点の誤りです。
自発開眼しない、呼びかけ(open your eyes!)でも開眼しない、痛み刺激(painful stimulus) でも開眼しないので、1点だと。(この時両腕を屈曲している:後述)
次に発語はすでに挿管しているので、現場で言葉を発したか尋ねて、まったくなかったのでこれも1点です。(挿管されているときは、V-T:verbal response- intubated と示し、1点と計算します)
運動は、さきほど痛み刺激で異常屈曲:除皮質硬直 decorticate posturing を示していたので、3点です。(2点は異常進展:除脳硬直 decerebrate posturing)ですから計4点でなく5点です。
ここの説明は間違えています。

corneal reflex:角膜反射。 cornea:角膜
角膜にものが触れると目を閉じる反射です。absent ですから反射がないと。
脳幹 brainstem:脳幹が関与している反射には多くの種類があります。

■21分33秒
外傷による頭蓋内の血腫には、急性硬膜下血腫 acute subdural hematoma、と急性硬膜外血腫 acute epidural hematoma があります。(dura:硬膜)これら手術できる損傷だと良いが、と。(実際はこのような血腫でもすべて助かるわけではありませんが)
びまん性つまり脳全体が腫れる形の損傷:brain swelling だと手術は無効だと言っています。

そのときは chronic vegetative state:長期の植物状態(名詞は vegetable ベジタブル)
あるいは potential organ donor:臓器提供者の可能性のある人:つまり脳死になると。
donor:日本語でもドナーと言いますね。(21分45秒まで)

■27分55秒
CTの結果が出ました。残念なことに diffuse brain injury でした。
ここでは swell の過去分詞形 swollen が使われています。

その2へ続く」

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