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5th season 第10話 その4「モルモットじゃないぞ!」


5th season 第10話 その4 モルモットじゃないぞ!

■8分14秒 – 9分11秒
クリスマスの仮装した男性が来院しています。
supraventricular tachycardia:上室性頻拍症(SVT):心室より上の伝導系に原因。
  ventricular tachycardiaだと心室性頻拍症
しょっちゅう起こると言っています。

発作性上室性頻拍(PSVT:paroxysmal supraventricular tachycardia)と
呼ばれる状態のようです。

Rate is 160.  心拍数は160回
Bp is 100 palp.  収縮期血圧は触診で100mmHg
 Bp:blood pressure
 palp:palpation 触診 血圧計で聴診器を使って測定せず、簡易的に
 橈骨動脈を触れて測定する方法です。素早く測定できるのでよく行われます。

cardiovert:cardioversion:カルディオバージョン
同期的な電気的除細動。R波に合わせて電気ショックを与えます。

心室細動VF:ventricular fibrillationでは除細動defibrillationを行います。
言葉が似ています。また器械も同じ除細動器を使用します。
しかし、R波に合わせて行うことが異なります。

患者は「いつものSVT発作だ。50Jでカルディオバージョンすれば治る。
さっさとやってくれ。仕事に遅れる。」と。
しかしDr Greeneは、きちんと身体診察をおこない、心電図を確認しています。

■10分07秒 – 11分00秒
患者は「50Jで」と言っていますが、Dr Greeneは自分の判断でまず20Jから始めます。
そして20Jでも30Jでも無効であり、50Jで有効でした。
Back to normal sinus.
正常な洞調律sinus rhythmに戻りました。
患者さんは「それ見ろ。余計な苦痛を与えられた。」と怒っています。

カルディオバージョンの際は痛みがあるので鎮静剤を投与するのですが、
ここでは投与せずにおこなっています。

最後に患者が”Dr Mengele!” と罵っています。
Dr Mengeleとは、アウシュビッツで人体実験をしたナチスの医師の名です。
「人体実験しやがって」「俺はモルモットじゃないぞ」という感じでしょうか。
DVDでは「たいした名医だよ、まったく」と穏やかな和訳にしていますが。


このエピソードは、一見Dr Greeneが依怙地なように見えますが、そうではありません。
患者さんは同じ病気で何度も治療しているので対処法をよく知っていることがあります。
しかし、医師はほんとうにいつもと同じ状況なのか、いつもと同じ治療でよいのか、
医学的知識と経験から考えなければなりません。
例えば、いつもの頭痛だから鎮痛剤をくださいと言われたけれど
実はくも膜下出血だった、というようなことがあります。
Dr Greeneは自分で医学的知識と経験から考えようという真面目さがあるのです。

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