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「ER」2st season 第7話 その1  「外科的気道確保」

Dr Ross が通りがかった重症の子供を救います。

■27分28秒–
心肺蘇生法・輪状甲状靭帯穿刺の後、救急隊と合流します。
穿刺チューブでは細いので気管チューブET に替えています。

救急隊は決まり(protocol)に従って、直近の Mercy 病院に搬送しようとします。しかし、Dr Ross は手術やICUが必要になるので3分余計にかかっても County General Hospital に搬送することにします。Trauma Center には医療設備などによってLevel 1 からLevel 3 まであります。Mercy 病院はLevel 1 じゃない、と言っています。
しかし、医療用ではない Helicopter です。難しい判断です。Dr Ross は、「全責任は俺が取る」(“I will take full responsibility for this”)と強行します。

Ambu-bag はドイツの会社の商品名なので大文字です。広く用いられているので普通名詞のように使いますが。人工呼吸するための機材です。
また、気管孔に気管チューブ(ET tube)を入れ直しています。Dr Ross は救急隊の除細動器(a portable defibrillator)を借りてヘリに乗り込みます。心室細動が予想されるからです。(後述)

■31分00秒–
低体温は、身体が寒冷にさらされておこる障害です。28℃以下になるととくに重症で、生命に危険がおよびます。温度が華氏で表現されるため、摂氏に慣れている我々にはちょっとわかりにくいですね。摂氏=5/9(華氏―32)です。

華氏はFahrenheit が考えた温度表示なので℉ と表します。摂氏℃は Celsius が考えた温度表示です。華氏といえば Ray Bradbury のSF小説『華氏451度』が有名ですね。

低体温の治療は、復温 rewarming が第一に必要です。Dr Greene や stuff は温めた生理食塩点滴(heated saline IVs, half a dozen:6本、106 degrees:41.1℃)や毛布(heated blankets)を準備したりしています。腹膜潅流(peritoneal lavage)も考慮しています。

■31分38秒–33分22秒
低体温では、不整脈(Arrhythmia)とくに心室細動(Ventricular Fibrillation:V-Fib)がおこりやすくなります。ヘリのなかでおこってしまいました。画面の波形は心室頻拍(ventricular tachycardia)にみえますが。

心室細動・無脈性心室頻拍の治療は除細動です。ところが充電できません。(“They didn’t charge the battery”)救急隊がspareと言っていました。予備なので充電できていなかったのでしょうか。もちろん実際にはあってはならないことで、常に整備・点検されています。

■34分03秒–36分53秒
County General Hospital の屋上から、引き続き処置室で除細動をおこなっています。エピネフリン(epi:epinephrine の略)やリドカイン(lidocaine)も投与しています。(1st season 第1話 その2 参照)

体温の評価は深部体温でおこなう必要があります。(core temperature:身体の深部の温度:膀胱温や直腸温などで測定します。)(低体温になってしまうと、普通の体温計で測る皮膚温は、深部体温と解離してくるからです。)82度ですから摂氏では27.7℃です。重症の低体温症です。

DIC(disseminated intravascular coagulation 播種性血管内凝固症候群の略)にはまだおちいっていないと言っています。しかし油断はできません。体温は85度(29.4℃)です。

■37分49秒–
さらに体外循環で血液を温めています。

■41分13秒–
ついに救命しました。


なお、同じ第7話のもう一人の少女の蘇生術では、開胸下の除細動がおこなわれています。このときは開胸下用の柄付き丸型の体内用パドルが使われています。(39分53秒–)心臓に直接使うので20Jでショックしています。



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