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「ER」3rd season 第20話 その1「脳梗塞にtPA」


脳梗塞は脳の血管が血栓・塞栓でつまる病気です。
発症直後であれば血栓を溶かすtPA(tissue plasminogen activator:
組織プラスミノーゲンアクチベーター)が有効です。(1st season 第14話 その5 参照)
しかし、tPAは血栓を溶かすので脳出血や他部位の出血の危険もあります。
それを防ぐため詳細な適応基準があります。

脳血管が詰まるとその血管細胞がいたむため、時間が経つと再開通した時に血管が破綻して脳出血をきたす危険が高いのです。

このドラマ当時はまだtPA治療が始まったばかりでした。
(アメリカで1995年に有効と発表されました。
 日本では2005年にtPA治療が承認されました。)
さらに最近では、直接血栓を除去する治療もおこなわれます。

■20分25秒 – 21分08秒
ALOC:acute loss of consciousness:急性の意識障害

stroke:脳卒中:脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の総称。
  とくに脳梗塞と脳出血は、症状が似ていることがあります。

救急隊の判断基準として、シンシナティ病院前脳卒中スケールが有名です。
CPSS:Cincinnati Prehospital Stroke Scale
これは腕の麻痺・顔のゆがみ・構音障害の3点で評価するので、
短時間にできます。

CPSS:Cincinnati Prehospital Stroke Scale

He’s got one-sides weakness.
片方の麻痺がある。典型的な症状です。
(この後の報告で左側の麻痺とわかります。)

slurred speech:
呂律がまわらない。会話が不明瞭。これも典型的です。

When did you find him?
発見した時間は?
  しかし、発見した時に既に発症している場合は、
  その前に健常だった時からの時間が重要になります。(後述)

■22分10秒 – 23分53秒
Dr Greeneも加わります。

CBC:complete blood count:血算:赤血球・白血球・血小板数
  あとでplatelet count:血小板数を加えています。特に重要なので。
PT:prothrombin time:プロトロンビン時間:血液凝固系(特に外因系)の指標。
PTT:通常はAPTT activated partial thromboplastin time:
活性化部分トロンボプラスチン時間:血液凝固系(特に内因系)の指標。
fibrinogen:フィブリノゲン:第1凝固因子
tPAは易出血性があると使えないので、これらの検査が重要です。

Team’s on alert. 脳卒中治療チームに緊急招集を

noncontrast head CT:造影をしない頭部CT
脳出血はCTで白く映ります。
脳梗塞は発症直後は変化なく、時間が経つと黒く映ります。
さらに緊急MRIで細かい高速範囲までわかります。

labetarol:降圧剤の商品名

既往歴を尋ねています。糖尿病・高血圧・腎不全・胃潰瘍など既往歴は重要です。
また常用薬も尋ねています。ワーファリンなど重要です。

Does he take aspirin?
アスピリンは血小板凝集抑制作用があります。
 (3rd season 第22話 その1 参照)

孫のparamedicは知識が豊富です。tPAを希望しています。

Do you know when the symptoms began?
前述したように発症時間を尋ねています。

Dr Weaverは一般の人々がtPAのリスクを理解していないことを危惧しています。

■24分24秒 – 25分10秒
CT confirms an ischemic stroke.
前述のように現在はMRIも撮影します。
ischemic:虚血性の

Gramps’ neighbor verified that he had no symptoms two hours ago.
祖父の隣人が、2時間前には何の症状もなかったと証言した。

So he’s easily within the 180-minite range.
だから発症180分以内なので(tPAが使える)

tPAが使われ始めた当時は180分以内が条件でした。
その後に研究が進み、4.5時間(270分)以内となり、さらに延長する方向にあります。
最新のprotocolを参照ください。

3時間以内というと時間があるように思われるかもしれませんが、そうでもないのです。発症してすぐに救急車でtPA使用の病院に搬送されれば良いのですが、おかしいと思っても様子を見たり家族や友人に電話して相談したり、かかりつけのクリニックが開くのを待って受診したり、いろいろして時間が経ってしまいます。
また、病院に到着してから血液検査・CT・MRI検査の結果が出て、病歴を確認したりするのに1時間近くはかかります。
ですから、病院スタッフも1分1秒を争って診療にあたります。救急搬入の連絡で、片麻痺や呂律が回らないなどの症状を聞くと、そのつもりで準備にあたります。

■27分35秒 – 27分56秒
tPAが開始されました。

■42分45秒 – 43分10秒
意識が戻り、会話ができるようになりました。
左手も動くようになっています。
よかったですね。

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