トップページへ

「ER」4th season 第1話 その1「頚髄損傷」


頚髄が損傷すると、両手足が動かなくなるなど重篤な障害がのこります。

■23分30秒 – 25分05秒
転落外傷の30歳男性が搬送されてきます。
Flaccid paralysis in all four extrimities with loss of sensation.
四肢すべて筋が弛緩して麻痺しており、感覚もない。
これを聞いただけで頚髄損傷が疑われます。

しかし、それではその前のBp60、Pulse120.が合いません。
頚髄損傷であれば血圧低下と徐脈が起こります。
pulse120と頻脈なのでどこかに出血をおこしている可能性があります。
それでDr Bentonがすぐに腹腔洗浄をして腹腔内出血を確認しています。

■26分27秒 – 26分50秒
Dr Weaver が頸椎側面のレントゲンで解説しています。
   たしかにこのレントゲンは第4と第5の頸椎がずれています。

At the moment, his C-4 nerve, the one between the fourth and fifth vertebrae,
is still functioning.

今は彼の第4頚髄(第4と第5頸椎の間から出ている)は機能しています。
 (vertebrae:vertebraの複数形:1st season 第7話 その2 参照)

この説明は誤りです。
頸椎は7つあります。神経である頚髄は第8まであります。
頭蓋と第1頸椎の間からでるのが第1頚髄、
第1頸椎と第2頸椎の間から出るのが第2頚髄、の順です。
ですから第4と第5頸椎の間から出るのは第5頚髄です。

Meaning he can move his diaphragm and
shrug his shoulders.

第4頚髄が機能していると横隔膜が動く(ので
腹式呼吸ができる)し、肩をすぼめることができる。

But if the swelling continues, then he becomes a C-3.
しかし腫脹が続くと、第3頚髄まで損傷する。従って
He will lose the ability to breathe on his own.
呼吸ができなくなるでしょう。

第4頚髄が働いていれば、
肋間筋は胸髄が支配しているので、動かないのに
それより下にある横隔膜は動いて腹式呼吸になります。

■28分24秒 – 29分03秒
針で刺して痛覚がどこまで残っているか見ています。
胸骨切痕の部分はC3領域です。痛覚が残っています。

■30分35秒 – 31分28秒
妻に急いで来院するように伝言しています。

■37分32秒 – 37分54秒
妻が到着しました。Dr Greene が説明しています。

■38分37秒 – 40分17秒
妻と話していますが、呼吸が悪くなってきました。
血液ガス分析です。
Po2:65、Pco2:50(字幕のPCA 250は間違いです。吹き替えは正しい)
動脈血中の酸素分圧が下がり二酸化炭素分圧が上昇しました。
もう待てません。
気管挿管になりました。

Dr Weaver やDr Greene が恐れていたように頚髄の損傷が拡大して
横隔膜diaphragmが動きにくくなっているのです。

彼が助けた少年は助かりそうです。
彼にとっても妻にとっても、せめてもの救いです。
4th 第1話 その2 参照)

「ER」目次へ


このページの上部へ