「よきサマリア人(びと)」とは新約聖書ルカ伝第10章の逸話から出た言葉です。
ある男が山道で盗賊に襲われ半殺しの目にあいます。そこに通りがかった僧侶は知らん顔して通り過ぎます。2人目に通りがかった人も同じです。3人目に通りがかったサマリア(当時のユダヤの隣国の名)の人は親切に介抱し、近くの人にお金を渡してさらに介抱してくれるよう頼みました。という話です。
そこから、見ず知らずの人に親切にする人のことです。
欧米ではこの「よきサマリア人」という成句は一般的のようです。アメリカにはGood Samalitan Hospital あるいはGood Samalitan Medical Center というのも複数あります。
心肺停止の患者さんに対し善意の第三者がおこなった行為で、もし不都合がおこっても免責する法律を、欧米では「よきサマリア人法」“Good Samaritan’s law”と呼んでいます。日本ではその法律はありませんが、刑法の緊急避難として免責されると考えられています。一般の方が「心肺蘇生をおこなってうまくいかなかったら後で非難されないかしら」と心配されなくてもよいと思います。
4th season 第1話
■27分16秒–27分34秒
転落外傷の男性Williamsさんが頚髄損傷に陥っています。(4th season第1話その1参照)
彼はリンチにあっている少年を助けようとして受傷したのです。
それでDr Weaverは
That Mr. Williams, who tried to be a good Samaritan and stop a young man from being beaten to death, is now paralyzed from the neck down.
少年を助けようとしたWilliamsさんは首から下が麻痺してしまっているんです。
と、a good Samaritan という言葉を使ったのです。
■38分37秒–40分17秒
彼が助けた少年は助かりそうです。
彼にとっても妻にとっても、せめてもの救いです。
Bruce Willisが刑事John McClaneとして活躍する映画『Die Hard 3』で、困っているところを助けたZeus (Samuel L Jackson) に対してテロリストterrorist が”Oh, the Samaritan”「やあサマリア人(びと)よ」と呼びかけます(98分17秒)。
見ず知らずのMcClane に親切にしたからです。
アイザック・アシモフIsaac Asimovの連作短編集「黒後家蜘蛛の会」(いわゆる安楽椅子探偵armchair detective:話を聞くだけで事件を解決してしまう名探偵もの)第4集の第4話が“The Good Samaritan”です。内容はやはり困窮した旅人を助ける話です。
余談ですが、後家蜘蛛とは交尾の後にメスがオスを食べるから、widow spiderと名付けられました。(猛毒の蜘蛛で「咬まれた人が死んで奥さんが後家になる」ので後家を作る蜘蛛だから名付けられたとの説も。でも、それではwidow maker spiderですね)。黒いクロゴケグモblack widow、背中が赤いセアカゴケグモ、斑紋のあるハイイロゴケグモ、など多くの種類があります。従来日本には(沖縄のヤエヤマゴケグモを除き)生息していませんでしたが、最近外来種として港湾などで発見されて問題となっています。
アシモフの小説では、男性メンバーなのでwidowの男性形widowerになっています。といっても、奥さんはいるのですが、男性だけが参加する会なのです。(第4集第4話「よきサマリア人」では例外的に女性が参加するのですが。)
レハールのオペレッタ「メリー・ウィドウ」The Merry Widowは未亡人が主人公です。
山口百恵さんの曲に「ロックンロール・ウィドウ」がありました(古いですね)。
恋人がロックンローラーで相手にしてくれないからウィドウだと。
spiderは蜘蛛。スパイダーマンは蜘蛛の能力を持っています。
公園でこんな看板をみつけました。
もう日本でも珍しくないのですね。