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5th season 第10話 その2「若年のくも膜下出血」


■9分10秒 – 10分10秒
18歳の青年が心停止で搬送されます。
flatline:心静止。心電図の波形が全く水平なので。
  asystole(収縮無し)とも言います。(後で出てきます。)

救急隊がすでに気管挿管し、人工呼吸をおこなっています。

Dr Rossが救急隊に経過時間を確認しています。とても重要です。(後述)
救急隊はエピネフリンとアトロピンを投与した、と言っています。
epi:epinephrine

若い男性の自宅での心停止なのでdrug、suicide、を尋ねています。

a killer headache
激しい頭痛を訴えていたことがわかりました。
subarachnoid hemorrhage:くも膜下出血(SAH)が疑われます。
診断をつけたいところですが、呼吸も脈もないので、まずは蘇生に専念します。

Pupils are fixed and dilated. No corneal reflex.
瞳孔は散大し、角膜反射がありません。
角膜反射:脳幹反射の一つ。角膜にものが触れると目を閉じる。

end-tidal CO2 detector:呼気終末の炭酸ガス(二酸化炭素)の測定器
二酸化炭素は肺胞で血液中から呼気に移動します。
胸骨圧迫が有効あるいは、血液循環が再開すると、呼気終末の二酸化炭素濃度が
上昇するので、心肺蘇生の指標となります。
    tidal volume:一回換気量

■11分00秒 – 14分00秒
Dr Carter が母親に説明しています。
CPR:cardiopulmonary resuscitation 心肺蘇生術

くも膜下出血は、大部分が40歳以上で脳動脈瘤の破裂が原因です。
20歳台までの若年では、先天性の動静脈奇形(AVM:arteriovenous malformation)
などが原因です。
“It could be a weak artery, possibly something that is existed since birth.”

心停止時間が長いと救命が難しいことも説明しています。
“The longer he goes without oxygen, the less likely we can bring him back.”

Dr Carterのがんばりで心拍が再開しました。
診断のためCT室へ行きます。

You want contrast ?
contrast material:造影剤
造影剤を用いると血管の様子がわかるのでAVMなどの診断に役立ちます。
しかし、Dr Carterは使わないと言っています。
アレルギー反応allergic reactionがありうること(母親は健康だったと言っていますが)、単純CTと造影CTで時間がかかること、全身状態が悪いこと、
などから判断したのでしょう。

■15分35秒 – 14分07秒
脳波(EEG:electroencephalogram)でも反応がありません。
脳死状態です。

血液型:AB型は2%と言っています。血液型の頻度は日本と異なります。

■20分00秒 – 14分24秒
母親は、元気だった息子が突然脳死と言われても信じられません。

Dr Carterが蘇生不要”do not resuscitate”の説明のところで
“vegetative state”という言葉を使っていますが、
厳密には異なっています。

■24分33秒 – 25分15秒
Dr Carterは“instrument of God”と言っています。
前の場面(13分33秒)でも“instrument”と言っています。
自分の力、人間の力ではなく、神様の道具に過ぎない、神様の思し召しだ。
という意味です。

■29分50秒 – 30分10秒
ちょうどAB型の肝移植が必要な患者が搬送されてきました。
     (5th season 第10話 その3 参照)
皮肉なことに母親は先ほどDr Carterが渡したDNR指示にサインしています。。

■31分13秒 – 32分06秒
V-tach:ventricular tachycardia。心室頻拍
faint pulse:脈がかすかにある。
Dr CarterはDNRに背いて治療を始めます。

■34分27秒 – 35分42秒
母親は院内の教会にいました。
母親にとっては、移植医療には心が向かないようです。

■39分04秒 – 39分55秒
一転して移植が行われることになりました。
Dr Knightが、両方の家族を引き合わせたようです。

■41分35秒 – 41分55秒
移植を受けた少女の横で、母親と最後の祈りを受けています。

■42分54秒 – 43分22秒
Dr Carterが母親に最後の挨拶をしています。

Christmasということもあり、1st season 第11話が思い出されるepisodeでした。


日本では、このようにDonorとRecipientの家族が直接会うことはありません。
移植コーディネーターが担当します。

Donorにお願いしたい・お礼を言いたいなどの気持ちはあるかもしれませんが、
臓器を欲しいという気持ちが、心理的な圧迫になったり、
金銭的な取引などが発生する可能性もあります。
臓器提供はあくまでも匿名の善意で行われます。


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