トップページへ

「ER」1st season 第11話 その1 「頭部外傷」


■5分58秒 – 6分47秒
25歳の男性がsnowmobileの事故でヘリ搬送されます。
GCS (Glasgow Coma Scale) 4点
decerebrate posturingですからM2です。
したがってE1V1M2であることがわかります。(1st season 第2話その1参照)
きわめて厳しい所見です。

■7分06秒 – 8分10秒
same as the blown pupil:散大している側の脳に出血して動眼神経が圧迫されているとCarter 君は判断しました。

decrease intracranial pressure:頭蓋内圧(脳圧)が高いままだと脳が大後頭孔から
押し出されて脳幹がますます圧迫されるので、頭蓋内圧をさげなければなりません。
burr hole decompression:穿頭による減圧(bur holeは間違い)
 小さな穿頭ではこの頭蓋内圧は下がらないのでおこなわないのですが。
 (chronic subdural hematoma 慢性硬膜下血腫はburr hole で済みます)
hyperventilation:過換気にして血中CO2をさげると頭蓋内圧の上昇をおさえます。
mannitol:利尿作用で頭蓋内圧を減少させるための薬剤です。

Babinski:バビンスキー反射
病的反射の一つ。(1st season 第1話 その3 参照)

fluid draining from his ear
cerebral spinal fluid
basilar skull fracture
 頭蓋底骨折があると脳脊髄液が漏れて、鼻や耳から出てきます。
 耳漏または鼻漏と言います。
 耳出血あるいは鼻出血と見分けることが必要です。
 脳脊髄液は透明です。
 Carter 先生は耳から透明な液体が出ているので頭蓋底骨折があると言っています。

■9分54秒 – 10分30秒
a big right sided bleed:CTでCarter 先生の診断通り右大脳の大きな出血でした。
midline shift:正中線が押されている所見です。
herniated:脳ヘルニアをおこしています。
No uptake activity in the brain stem. 脳幹に血流がないのでbrain dead と診断しました。

1st season 第11話 その2 へ続く。

なお、頭部外傷は左側からのようにも見えます。
それなのに右大脳に出血があります。
このように反対側の脳に損傷をきたすことを
対衝損傷contrecoup injuryと呼びます。
contrecoup(コントラクー)は仏語なので最後の子音は発音しない。
後頭部を打撲して前脳に脳挫傷をきたす形がよく見られます。
同側の損傷はcoup injuryです。

対衝損傷 contrecoup injury


「ER」目次へ


このページの上部へ